平日は0時に寝て6時半に起きる。
土曜は2時に寝て10時まで眠る。
睡眠時間だけ見れば、休日の方がよく寝ています。
それなのに日曜夜は眠くならず、月曜朝が重い。
この「平日と休日で別のタイムゾーンを生きているような状態」を、2006年にWittmannらはsocial jetlag(ソーシャルジェットラグ)と表現しました。
ポイントは、寝だめそのものではありません。
身体が好む睡眠時刻と、仕事・学校が要求する時刻のずれです。
ソーシャルジェットラグは、平日と休日の「中間睡眠時刻」の差で見る
就寝0時、起床6時なら睡眠の中間は3時。
休日が2時就寝、10時起床なら中間は6時。
この差は3時間です。
MCTQ(Munich ChronoType Questionnaire)では、仕事日と自由日の睡眠中央時刻の違いを使い、社会時刻と生物学的時刻のずれを捉えます。
2006年の原著では501人が質問票へ回答しました。
遅いクロノタイプほど仕事日に睡眠負債を抱え、自由日に遅く長く眠って補う傾向がありました。
この仕事日/自由日の差を、著者らはsocial jetlagと呼びました。
だから「休日に寝たから月曜が悪い」と単純には言えません。
むしろ、平日に社会時刻へ合わせるため無理をしている結果が、休日に見えている場合があります。
寝だめを禁止すると、睡眠負債だけが残ることもある
月曜を軽くするために「休日も平日と同じ6時半に起きろ」とすると、平日に足りなかった睡眠を補う機会まで消えることがあります。
ソーシャルジェットラグと睡眠負債は重なりますが、同じではありません。
平日5〜6時間しか眠れていない人が、休日も短く切れば、時刻差は小さくても睡眠不足です。
一方、休日に4時間遅く起きれば、睡眠時間は取れても時刻差が大きくなる。
どちらも完全ではありません。
2021年のレビューでも、ソーシャルジェットラグは多くの健康アウトカムと関連して研究されている一方、因果関係や睡眠時間・クロノタイプとの切り分けには限界があると整理されています。
だから目標は「週末も絶対同じ時刻」ではなく、平日の不足を減らしつつ、休日の大移動も小さくすることです。
月曜の重さは、日曜夜だけで始まっていない
土曜の朝に遅く起きる。 朝の光を浴びる時刻も遅くなる。 土曜夜も遅くなる。 日曜も同じ。
そして日曜夜。
身体はまだ遅いスケジュールを続けたいのに、翌朝だけ社会時刻へ戻さなければならない。
ここで不協(ディゾナンス)は「土日に寝たこと」ではありません。
平日の不足を、時刻を大きく動かす方法でしか回収できない生活です。
まず測るなら、休日の起床時刻ではなく「差」
ソーシャルジェットラグという言葉を知ると、「休日は何時まで寝ていい?」と聞きたくなります。
でも個人のクロノタイプも平日の起床時刻も違います。
まずは、
平日の就寝・起床 休日の就寝・起床
を一週間書きます。
そして中間時刻の差をざっくり見る。
2〜3時間以上動いていて、日曜夜や月曜朝がつらいなら、調整候補になります。
「1時間以内」という数字を絶対ルールにする必要はありません。
自分の差を30分縮めただけで月曜が変わるなら、それが使える調整です。
夜型を性格の問題にしない
2006年の原著でも、遅いクロノタイプほど社会スケジュールとのずれが大きくなりました。
朝型・夜型には生物学的個人差があります。
夜型の人へ「早寝早起きすればいい」と言っても、社会時刻との摩擦そのものは消えません。
仕事や学校の開始時刻を変えられない場合でも、
朝の光 休日の時刻差 夜の強い光 食事時刻 仮眠
など、周辺の時間信号を少し揃える余地はあります。
CCTでは、本人を朝型へ矯正するより、社会の時計と身体の時計がぶつかっている場所を探す方が自然です。
東洋医学なら、週末の「重さ」を睡眠時間だけで見ない
東洋医学では、長く寝た後の重だるさ、食欲の立ち上がらなさ、頭の重さなどを「湿」や脾胃の働きと合わせて見ることがあります。
現代のsocial jetlagとは別概念です。
ただ、休日に遅く起きると、
食事も遅い 活動開始も遅い 身体が重い 夜も遅い
というまとまりになりやすい。
その一日の動き出し全体を見る補助線にはなります。
週末に寝ることより、「毎週時差ぼけを往復しているか」を見る
ソーシャルジェットラグは、休日を楽しむなという概念ではありません。
本質は、
平日は社会の時間 休日は身体の時間
を毎週往復していることです。
週末に寝だめしたいほど平日が短いなら、まず平日を少し長くする。
休日のずれが大きすぎて日曜夜がつらいなら、少し前へ寄せる。
睡眠時間と睡眠時刻を別々に見て、両方が極端にならない場所を探す。
それが、月曜を根性で起こすよりCCTらしい調整です。
強い日中の眠気や長期的な睡眠問題がある場合は、時刻調整だけでなく睡眠障害なども含め医療機関へ相談してください。